裂いた咲いた
木屋 亞万

黒く流れる髪
しだれて
横からでは
目と鼻しか
見えない
睫毛と瞳
鋭い鼻の線
瞳は陽光を浴び
飴色に透ける

あかるさが
保証された昼
光を溜め込む
白い肌が眩しい
風は追い風
顔は半分も見えない
髪のブラインドに
ため息しか出ない

見えても見えなくても
見えなくしている
部分さえ愛しい
話し声すら届かない
笑顔はよく見えない

かつて手であった
部分から黄色い
チューリップが
2本咲いてくれて
額からは白い
胸の核からは赤い
チューリップが咲いた

花壇から白い瞳で
黒髪の女神を探す
探すのだけれどもう
眩しくてわからない
残された方法として
彼女の幸せを祈る
すでに失われた私の
望みなき恋
祈ることだけが
最期の最後の望み


自由詩 裂いた咲いた Copyright 木屋 亞万 2008-05-05 01:14:05
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