初夏
榊 慧



きもちのわるい不愉快な
温かさが支配する
恐らく俺は恐れている
これは、紛れも無い、恐怖だと
俺は思う



赤い携帯電話がこちらのほうに
意識を飛ばしているように



ノートは、何冊買ったのか
あと何を準備しなければ
いけなかったのか
10年前のように思い出せない


黒の上着は
昨日購入したばかりなのに
ひどくあつく、
季節外れではないのに



赤い携帯電話が、どうしても目に
その赤は、
この今には、
似合わない気がする
のぼせてしまいそうな、感覚





すぐに終わってしまいそうな
流れを含んだ、
この今、が俺は嫌い
いつになっても
すぐになくなってしまいそうな、この今
嫌いなんだろう、多分




もうすぐ
1年たつ
そのときは、
雨が降っているかもしれないのだ

これが、季節というものなのだろうか、

俺は








自由詩 初夏 Copyright 榊 慧 2008-05-04 14:05:37
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