『実直に』
東雲 李葉

使えないのは仕様です。開き直りたくもなる。
できない理由を問われても聞かれたこっちが聞き返したい。
不器用さが格好いいのはテレビの中の話です。
現実は目の前にしか現われない。
夢見がちな年頃だったと最近大人の声がします。
煙草はまだ吸えないけれど苦い煙に馴染んでいく。
並んで走っていられた時代はすでに終わりを迎えたようで、
今はどれだけ無味乾燥に事を片付けるか競っている。
何百回失敗してもやり直せたらいいと思うんです。
僕みたいな欠陥品は一発勝負じゃ勝てないです。
引き分けくらいになりたいから立ち上がることを許してください。
性懲りもなく走りだしたら派手に転がるまで挫けないから。
実直に生きてゆくことを認めてください。
素直さだけが売りなんです。処分品にしないでください。


自由詩 『実直に』 Copyright 東雲 李葉 2008-05-03 17:39:01
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