むずかしい散歩道
小川 葉

長さが
ちょうどいいので
いつもその道を歩いた

長さは長さ以上に
距離ではなく時間だったから
帰る家もなつかしい

廊下の床がゆるんで音が鳴るのは
散歩と人の長さが
同じ距離になったから

むずかしいことなど
何ひとつなかった

父と母と妹と
手をつないで歩いた散歩道

家族が
家族であることが
今はこんなにもむずかしい


自由詩 むずかしい散歩道 Copyright 小川 葉 2008-05-01 23:35:34
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