声に出すのが苦しいからとひっそりとつぶやくだけの日々が増えてゆく
春日

そうやって闇を光らせる、
例えば手をとって、
もう一度、
ただもう一度、

命に値段があるのなら、
ぼくはいくらつぎ込めるかな、

ひりひりと痛がった、
涙だけをのこして、
消えるとして、
花束はまだ届かないし、
届いてもきっと枯れるから、
なくなったものを惜しむのは、
まったく今さらなことじゃない、

呟いた言葉の片々を大事にして、
花をいけるときの水にそそごう、
あふれてしまうかもしれない、
溺死、

ごめんねは言えたのに、
ありがとうはまだうまく言えなくて、
咀嚼の回数が少ないのも、
果物が食べきれないのも、
きみのせいにしてみる、
拭えないんだよ今さら、

ただわらってて、
手を伸ばした先にあったね、
当たり前と知っていて、
なくすことも知っていて、
それでも今まで何回名前を呼んで、

拒否はいたいけど、
嫌いじゃないんだ、

おはようとかおやすみみたいに、
簡単に言える言葉なら、
どんなに良かった、

昇華しきれない胸は、
まだ痛いと言って、
残された痕跡を、
ひたひたと感じるたびに、
目の奥があつくなるけれど、
もう一度ごめんねを言ったら、
きみは、
ゆるしてくれる、






自由詩 声に出すのが苦しいからとひっそりとつぶやくだけの日々が増えてゆく Copyright 春日 2008-05-01 00:52:36
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