色鬼
木屋 亞万

青を求めていた
触れられるブルー

違う、滑り台は派手な赤
玩具みたいで少し残酷な

違う、雲梯はテカテカ光る緑
同じ緑なら地にへばり付く

違う、ジャングルジムは酸っぱい黄
見ているだけで唾が出る

違う、ベンチは黄ばんだ白
いつも少し傾いていて弱い

違う、ブランコは安定した茶と黒
指を挟み込む血に飢えた鎖色

青に触れないと
鬼に食われるんだ

逃げ回りながら探す
青紺水色群青藍紫ブルー

ふとブルーのリボンが
ワンピースの胸元にちらり

いやでもあれは触れない
微妙な時期なんだって今

あの娘はリボンの端をつまんでる
スカートでも持ち上げるように

鬼は僕を狙い始めた
捕まってたまるかあの娘の前で

空は、空は青いのだけれど
飛んでも跳ねても触れない

翼を下さい青を下さい
愛を下さいごめん下さい

後ろから青を抱きしめた
これで誰も近付けない


青を求めていたんだ
触れられるブルーを


自由詩 色鬼 Copyright 木屋 亞万 2008-04-27 00:25:00
notebook Home