あの、ね
Rin K




あの、ね

  君の語りの中にはいつも海があって
  壊れた砂時計が海岸線を塗りつぶしている
  波はいつの間にか言葉になって
  こだまする、喉の奥

赤いうさぎを抱いた少女 裸足の足跡が
広がり続ける浜辺に消されて
わたしたち、いつも
帰り道を見失うの



あの、ね

走るのをやめないと
廊下はどこまでも伸び続けるから
目を閉じて仰向けに倒れると
背中が地軸を感じる
きっと螺旋
瞼の上に向日葵が

  赤いうさぎはどこへ逃げたのだろう



あの、ね

  たった一度だけ君の世界で迷ったら
  同じようにあざやかに
  この街が映るのだろうか
  君の語りの中では時々雨が降る

雨の雫はどうして不可算名詞
一粒ずつに名前があるのに
ジョンはわたしの右肩に乗ると
必ず左に行きたがる
わたしは自由に動けるから
すこし傾いてあげたいけれど
螺旋にはいつもかなわない


あの、ね

あなたが指さした看板が
どこにあるのかわからないとき
探すふりで海を見ている
 
  そう、僕は
  赤いうさぎを探す顔で
  君の螺旋に酔っている
  ジョン、それは君のかなしみ
  向日葵のように回って 

  海へ行こう
  たったひとつの海へ





自由詩 あの、ね Copyright Rin K 2008-04-26 19:34:23縦
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