風になる日に
銀猫

湿った夜の破片が
蝙蝠となって折れ線を描く
低く、低く

やがて来る、雨と
灰色の朝は
かなしい、という色に似ている


里山の懐に
ちいさく佇むそこ、は
永遠の黄昏に向かい旅立つ、
煙と風の
始まるところ

  時計の振り子が
  僅かに遅い部屋では
  黒い背景にパールが一粒
  溶けては苦笑い
  にんげんが
  風に変わる瞬間を待つ
  誰かの最期とは
  こんなふうに
  雨だろうか

透明な煙が
雨糸の隙間を縫って
高く、
高いところで風になる


あなたのかたち、に
さようなら。
優しく背中を押す風を
明日は何より愛しく思う





自由詩 風になる日に Copyright 銀猫 2008-04-24 23:12:06
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