三人家族
小川 葉

週末
接待のため夜中に帰った
けっこう酔っていて
おみやげに肉まんを買って帰った

あっくんが起きてたら
一緒に食べたかったのに

と、言おうとしたのに

あっくんが生きてたら
と、間違えて言ってしまった

そしたらなんだか悲しくなってきて
泣いてしまった

何かあったの
と言う妻をだきしめて
泣きながら寝てしまった

翌朝
肉まんのいい匂いで目が覚めた
あっくんが
古いアルバムを僕の枕元で開いた

これは
お父さんとお母さんなの?

僕と妻が出会った頃の写真だった

僕はいないの?
僕はどこにいるの?

あっくんはね
言いかけて
また泣きそうになった

三人で肉まんを
食べようとしたらそれは
餃子だった

そんなこと知るよしもなく
餃子はもともと肉まんではなく
餃子であったかのように
お父さんもお母さんも
あっくんもちゃんとそこにいて
三人で餃子を食べた


自由詩 三人家族 Copyright 小川 葉 2008-04-24 01:51:03
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