右往左往
狩心
おれ達は絶対零度 マイナス180℃の世界だ
終わりから数えた方が早い
今から断崖絶壁に飛び降りた方が早い
俺たちは真夏の太陽
咽喉がカラカラで砂漠を歩き続けても
ずっと追いかけて来る真夏の太陽 砂漠
おれ達は絶対零度 真夏のビブラートの世界だ
オブラートに包んだ豚の背油
抱えたままおっちんで死ぬ
皮膚が骨にさよなら
瞬きは条件反射
卓球台でボールを打ち返すように
そこに立つのは誰か 温度計だ 砂漠だ
地熱を計り続ける氷河の太陽
俺たちは猿ぐつわを嵌められた盲目の少女
ひとたび前進する寝息
心から爆発した空気の拡散
雨が騒いだときの光
さよならなんて二度とない
近所の竹やぶから熊が現れる
おれ達は絶対零度
着ぐるみの熊
背中のチャックから油を滴り落とす 落下だ
ベストコンディションの疫病で
宇宙の病でくるくるぱー
絶対 電動!
超電磁スピン解体処理合体
ヘモグロビン 変に合体した解体速度合体
近所の竹やぶから童話的に赤子が発見
誰が親だか分からない
誰が親だか分からないけど
おれ達はその赤子のパパになる
おれ達は絶対零度 マイナスで火傷する時代だ
母から離れて三千里
俺たちは三日月の上で寝そべる
童話的な体
それを蝕むコガネムシ
羽を閉じて合体した悪魔
皮膚に定規を当てて
滴り落ちる汗の速度
汗が蒸発する瞬間に
定規を垂直に立たせろ
おれ達は身長を測り間違えた
計算機の誤差の中の魂
おれ達は人面相の中で眠る雑草
日が暮れた時に神経が赤くなる
目玉からは青い液体
おれ達の体は紫
確か紫は虹の中の一色に存在する
雨上がりの水たまりに浮かぶ油も
角度を変えて見ると七色にビラビラする
おれ達の皮膚は羽根のようにビラビラして内蔵
竹やぶで入手した串で突き刺して焼き鳥
食う奴は社会に疲れた仕事熱心な病人
片足無くしても座ることなく立ち飲み屋で立ったままセックスしてる
お前たちに譲ろう
ご乗車 ありがとうございます、
ここからはジェットコースター
安全ベルトはだらだらに垂れて故障、タレ付き
これからあなたが料理される明日、今、今日、今です!
前人未到のシグナル
「母ですよ」という見た事もないばばぁの顔
赤 ばばぁの顔
黄 色っぽいネェちゃん
青 どこまでも青空 広がっていく
放心するなら今
投げ出す為に和解しよう
ありのままで居られるならば
この体 朽ち果ててでも
毎朝納豆を何度も掻き混ぜてやろう
100回転しても明日は来ない! 今日さえもまだ!
土煙 燃えいずる夜
新月は瞬く間に黒の中に呼吸を沈める
心の音が心拍音と重なっているか確かめる
まだ 月の中に兎は居る
それが餅つきしているかは
おれ達次第だ
俺たちは注意警報
誰かに呼びかける情熱の大陸
地殻変動で
世界が七つの大陸に分かれる前は
世界は一つだった
しかしそこに七つの海は無かった
七色の油は無かった
七つの大陸に分かれた今の時代はレインボーなのだから
おれ達もきっと
工場から流れ出た汚染物質の
雨上がりの水たまりに浮かぶ七色の油だ
背油だ
ラーメンの上に浮かぶ俺たち背油
あんたの舌の上に
コクとまろやかさを与えたい
そして願わくば
心に染みる
細胞分裂の歓喜で在りたい
前置きだけで終わるわけにはいかない
ちゃんと最後までやり遂げるさ
そう言ってる間に
今日が終わった!
俺たちはレインボー
目ン玉が回転する
時限爆弾を抱えた娼婦
体は売るが
心までは売らない
あなたと自爆 する まで わっ!
落下する落下する落下する 血の池地獄
湯加減はどうですか?
もっと火を炊いてくれ
あまりにも死臭が広がっていて
居心地が良過ぎて
出れそうもない
もっと火を炊いてくれ
材料は近所の竹やぶから
パンダが隠れる事が出来なくなって
白黒つけてやろーじゃねぇか!
白黒つけてやろーじゃねぇか!
って蹂躙するように
手の平は裁判所
握ったり離したり
その運動の中に僕たちの意思
見つめる
そこに在る皺の数や形は一人一人違う
だから握手してみて
重なる感じを確かめ合う
僕たちは手で
言葉を交わす
手が
離れるとき
空気の中に何かを残す
それがぼくの知らない何処かに行っても
それは確かに
この地球上に存在する
わかいわかい命
何度も老人を生き返らせる
うとうと寝てられない
だから今日も夜通し会話する
真空の籠や
触手の伸びる怪物について
その弱点やメリットについて
共存する事や戦争について
消えてしまった家族や
まだ取り戻せる事柄について
無重力で想像する事や
嫌いなものを許すこと
僕たちがまだ
情熱の大陸であったなら
七つの海を抱えて
すべての空を支えたいと思う
世界に溶け込んでいるものが
循環する心だとしたら
あまりにも可哀相で
僕たちはその循環を止めるまで
人間を辞めれそうにも無い