ひかり
石畑由紀子




   書いては消し、
   書いては、
   消し、


   夜 、
   に書いた手紙は朝にもういちど読みかえしてみよといいます、
   雪は残らずとけてしまった、私は雑音で、《膨張、
   満ちて、          《する内側、
   いる、     《呼吸が浅くなって、
          《ゆく、



路上の白線に足をとられる私を
かこいながら通りすぎてゆくひかりの群れ
爪を巻きあげる、掻いてしまわぬよう
キリキリ と


   産声、今日も、
   あなたのひかりはまぶしかった、そしてその、《瞳孔の開閉は、
   つらなり、も、   《対象のせいではなく私の、
              《絞りの故障です、

                 《故障です、



先端と呼ばれることにあらがい
切れたままの糸をにぎり闇へ逃げこむと
産まれない私の産声が、さびしく
わらうようで


   まぶしさは悪さをしない、だから、
   まぶしさは、
   まぶしさのまま眼球の向こうに、
   とりこむのです、そして私が発光すること、はまた別の、
   はなし、





白線の上で動かずにいる私にかまわず
走り去るひかりの群れ


今日も
騒がしい昨夜の手紙を指先で消火する
書いては消し
書いては
消し
産まれない私の産声を   《発光して、
私が
ただしく照らすまで



           《発光、


        《して、













自由詩 ひかり Copyright 石畑由紀子 2008-04-21 22:02:27
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