ひかり
石畑由紀子
   書いては消し、
   書いては、
   消し、
   夜 、
   に書いた手紙は朝にもういちど読みかえしてみよといいます、
   雪は残らずとけてしまった、私は雑音で、《膨張、
   満ちて、          《する内側、
   いる、     《呼吸が浅くなって、
          《ゆく、
路上の白線に足をとられる私を
かこいながら通りすぎてゆくひかりの群れ
爪を巻きあげる、掻いてしまわぬよう
キリキリ と
   産声、今日も、
   あなたのひかりはまぶしかった、そしてその、《瞳孔の開閉は、
   つらなり、も、   《対象のせいではなく私の、
              《絞りの故障です、
                 《故障です、
先端と呼ばれることにあらがい
切れたままの糸をにぎり闇へ逃げこむと
産まれない私の産声が、さびしく
わらうようで
   まぶしさは悪さをしない、だから、
   まぶしさは、
   まぶしさのまま眼球の向こうに、
   とりこむのです、そして私が発光すること、はまた別の、
   はなし、
白線の上で動かずにいる私にかまわず
走り去るひかりの群れ
今日も
騒がしい昨夜の手紙を指先で消火する
書いては消し
書いては
消し
産まれない私の産声を   《発光して、
私が
ただしく照らすまで
           《発光、
        《して、
 
