「ひとつ」
長谷川智子
いまあたしは ふたりのおとこをすきでいる
そんなことはありふれたことにすぎないが
あたしには おおきおもすぎてはちきれそうなのだ
まるいゆびのさき おおきくない て
ちいさなかた ほそめのうで
さいぼうたんいで いとおしい
いつかのまどろみのなかで つぶやいた
「きみといっしょならしんでもいい……」
「ばかね」
ということばがみょうにやわっこくてあったかい
いろんなものがこれにあつまってくる そんなかんじ
からみたい からめたい しばられたい それよりもなお しばりたい
いつもそんなことばかりあたまのこえとしてうかんでは きえる
ほんとうにやってみないとどうにかなるほどまでいかないし おそらくはいけないのだろう
***
ほそいゆびのさき おおきな て
おおきなからだ ふとめのこえ
まわりをとりまくくうきが いとおしい
「こどもがほしい
あなたのでほしい」
なぜか おもってしまった
おもいあたるふしは いくらでもある
またしちゃった あれ
ああ どうしよう せつない しつない
そつなく なんてことは ふかのう
……あるいみ おあつらえむきかもよ
ふたり が ひとつ ふたり で ひとつ
あたまのなかでは、なんてね
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「mind & body」series.