スポンジは雨のあとに出てくる芽のことを待ち侘びている
エスカルラータ
このままじゃきっとダメになる
このままじゃきっとダメになる
そういう感覚を利用して
何よりもスピードを大事にしてみなよ
畑を耕して
種を撒くことから始めてみるべきだ
乾いた土地で
享受する雨すらまばらな状態で
飢えた果肉を太らせるんだ
意識を剥き出しにして
注ぐ時間の量を最大にして
一粒の密度を
電流を流して上げてゆくのだ
そうじゃなきゃきっとダメになる
作法ではなく《作法=さくほう》を学び
テーブルマナーよりも
料理の成り立ちを―
その調理法ついて理解するべきだ
売ってないよ
そこらの本屋じゃ売ってないけれど(おれの必要としてるエッセンスは、かけらも記されたものがない)
長い助走をつけて
どこに弾かれるかわからないトランポリンの着地地点を
少しでもコントロール出来る様に
頬を張りつけて
一遍の詩を読み進める
習わぬ経を
習わなかった者特有のやり方で
だからこそ違う角度、違う吸収の仕方で
(独学による閃きは、苦労する分電流が多いものだ)
(知り得ている者からすれば、ささいな事であっても)
英知、となるものを
ひとつでも掴み取り
真実を抜き取って
丹念に煮込んで
あるいはそのまま刺身にして
ときにはスケルツァンドな
ドレッシングをあしらって
素材のもつ旨味を
差し出していかねばならない
方眼紙相手に
闇雲に点を打って繋げたって
それは叫んだ時のフキダシにはならない
xとy軸
からかけ離れた点はどこにも届かずに
トラディショナルに不快な埃をつけるのがオチさ
蓮の葉を渡って
向こう岸にたどりつけるようなら話は別だがね
それが出来ないならやめておけ
それが出来ないならやめておきなよ
誰かの無意識に響く音律を
無条件に反射する光の五線譜を
自然なまでのエスプレッシーヴォが
おのがうちから生まれるまで
それが出来るならやめておけ
それが出来るならやめておきなよ
降ってきたその時に
すべてを差し出せる様
畑を耕しておくのだ、と
雨を受けるスポンジはすべてを反射するように
本を、読んでいる