夏、刹那
ゆうと
プール
プールに浮いている罠
ぼくは見抜けない
きみに囚われた
風
なびく
たゆたう
におい
プール
プールに沈む眼が
ぼくを見ている
空 見透かして
風
なびく
たゆたう
におい
ゆっくりと
浸水していく
はだかの足が
ふらついて
クロールして
クロールして
息継ぎをして
きみを見て
まぶしい
しぶきを
かきわけて
ひかりを
吸い込む
一瞬で
視界のすみで
ぼくを見ていた
きみの眼が
きみの眼が
焼きついて
はがれない
こげくさい
胸の奥
風
なびく
たゆたう
におい
ぼくたちの
夏は
こんなにも
刹那です