@ひとりなら
貴水 水海

「お前ひとりくらい入れるぜ」

急に降ってきた雨

折りたたみの傘が
小さくてごめんねと言う

持っていなかった
多分
雨は大丈夫だろうと思ってた

帰り道
何も話さないかもしれない

前しか見ていないかもしれない

顔を見るだけで心ときめく人を
濡らさないようにする
それが今できること

出来ないことを
出来る振りをしてもダメだと

顔を見るだけで心安らぐ人には
今出来ることを

「お前ひとりくらい入れるぜ」

折りたたみの傘は
くすくす笑う




自由詩 @ひとりなら Copyright 貴水 水海 2008-04-19 02:44:05
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