散る桜
蒼木りん
コンクリートの塀の上に
鳥みたいにとまって
下を見たら崖で
気づいたらもう
落ちている夢を
いや
妄想をよく見て
神経は
そんな私の頭の中に不安という
ゴミが散らかっていると警告する
今年も
月の桜を見られなかったと
花びらで埋め尽くされた
地面を見て想う
恋という
色をした桜の花弁が
恋という軽さほどに宙を舞って
夢見て
落ちていく
そんなものは
一生涯のほんの一部で
若葉が伸びて
深緑から枯葉になり散るまで
そして枯れ木になり倒れるまで
何年も誰にも愛されもせず
繰り返す
黙って
耐えて
私の体が
桜の花弁ならばよかった
コンクリートの塀の上から
風に煽られて落ちても
怯えることもない
愛される
夢見て
朽ちていくことさえ
思いもしないで
散る桜の
花弁