散髪
餅月兎

シャキ

ジャキ

ジャギ

ジャギッ

落ちる
落ちてゆく
さっきまでわたしであったそれ
ぎらり光るハサミが引き離した

箒で集められ
ゴミ箱へ
見送ることが出来るのは
せいぜいそこまで
さようなら

お金を払って
ありがとうございましたを背に扉を開けば
三年程共に過ごした長い友の事など忘れ
軽やかな頭はあたらしい陽射しに馴染んでゆく

わたしはこうしてわずかづつ切り取られ
水に溶けてゆく砂糖のように
世のなかへ馴染んでゆく
緩やかな移動のために

いずれまた会うこともあるでしょう
いってらっしゃい
かつてわたしであったそれ
どこかでわたしを続けるそれ


自由詩 散髪 Copyright 餅月兎 2008-04-18 16:32:25
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