失恋
AKiHiCo

彼女は失恋をしたそうです

毎日泣いては泣いて
時間だけが過ぎてゆくのを
いつか彼が来てくれるのを
待つだけでした

昔から彼女は人に臆病で
誰かを好きになるという事が
嘘のように思えてさえいたそうです
桜色の頬で外に出ては
いつかのデートに向けて
服屋で洋服を当てて笑っていました

恋人同士になれたなら
ペアのペンダントが欲しい
そう語っておりました
その笑顔が底抜けで
僕も幸せを分けて貰えたような
明るい気持ちになれたものです

ですから今の彼女は
見るに耐えない状態なのです

幼い頃は我慢をして雨のような
拳に耐えて押し黙っておりました
晴れない空ばかりを眺めて
心が壊れる音を一緒に聞いたものです
いつか助かる日が報われる日が来ると
頭を撫でてやりました

ようやく僕は気付きました
他人に期待などしてはいけないと
不幸でしかない彼女の生命を
どうしてくれようか


自由詩 失恋 Copyright AKiHiCo 2008-04-16 16:04:16
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