既視感
こゆり

元気ですか、で始まり
元気ですか、で終わる
始まりと終わりが手をつないで
ぐるぐる回りだす
後ろの正面だあれ

立ち止まると
旅人が集う酒場で
ときどき
伝説になった君の
噂話を聞くんだ

オアシスに映る
ばら色の足元を見つめて
さあ目的地に
向かわなければ


立ち止まると
ビルから見える
大きな交差点
スクランブルではないのだが

ばら色のオアシス
に見えるのは
ここではないどこかの
弾けた記憶の断片が
路地裏の
そのまた奥の
奥のほうで
深く深く
刺さっていたから

屋上から手を伸ばし
届かない夕日を
今にも落ちるだろう
だいだいの空に向かって
ばらの花びらを撒き散らし
オアシスを埋め尽くす

記憶は

ばら

の記憶


自由詩 既視感 Copyright こゆり 2008-04-15 20:10:57
notebook Home 戻る