「ウミサソリ(Eurypterus)」
ベンジャミン

古生代、シルル期の海に
かつて繁栄した太古の生物
生きた化石と呼ばれるカブトガニと同じ
三葉虫から進化したアグラスピスを先祖にもつ

広翼網の特徴である外殻は「天使の翼」と称され
四角い頭と、両腕には大きなハサミをもつ

彼らはやがて陸へ上がり
海に残ったものは化石に姿をかえ
生きたものの姿を見ることはできない

ところで

人の祖先もたどれば海へつながるという
いや、すべての生き物がそうなのだという

海を離れ陸に上がった生き物は
自らの生きる場所を選択することで
あるものは順応し、あるものは淘汰された

そして今
人は宇宙へ近づいている

見上げた星を結んだときに描かれる星座
その中にあるさそり座は
太古の姿をやきつけたまま空に寝そべり
僕たちを見下ろしている

かつて繁栄した巨大な海の生物
その見たこともない姿を思い浮かべるとき

僕はなぜか
海を懐かしく思う
    
    


自由詩 「ウミサソリ(Eurypterus)」 Copyright ベンジャミン 2008-04-15 01:16:04
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