野球観戦
小川 葉

野球を見に行った

試合の途中
本日の入場者数がアナウンスされて
僕が生まれ育った町の人口ほどだった

思わず観客席を見回すと
そこには
懐かしい人ばかりいるような気がした

当時親友だった人が
三十九歳になったような感じだった
面影はあるのに
少し目が違っていた

それでも何度か目が合った
合うたびに
その目はあの頃の目になった

試合が終われば
みんなこの町を去ってしまう
そして懐かしむようにまたいつか
この町に帰ってくる

町長は野村さんという人だった
試合に勝って
町のみんなに挨拶してる

笑い方が
僕の父さんに似ていた
おそらくみんなそう思って
拍手してる

人違いだったのに
いつのまにか
一緒に拍手してる


自由詩 野球観戦 Copyright 小川 葉 2008-04-15 00:03:39
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