或る店
佐和
本心では好きでもない男性と
体を重ねるのは
汚い事ですか?
不潔
だね
と答えは言う
ならば、どういたしましょう?
この欲求は
どこへ追いやりましょう?
何処へ封じ込め
どこへ包み隠しましょう?
ツボに押し込めて
男性にフタをしてもらいなさい
きっと その役回りに相応するいい男性は いくらでも居ますよ
曇り眼鏡から見上げる
鈍いヤニ色が、灰色のヒゲとともに濁ったのを
若い女は
やっぱり、と確かめ
足を後へ一歩
風のように消え去った。
老店主は再び書物に目を落とした
黄ばんだ歴史の真実がたたずんで
北風にめくれた