きみの一日を 僕は知らない
もも うさぎ

きみの一日を 僕は知らない

きみが毎朝買っているパンの味も
きみが気にして飲んでいる健康ドリンクのことも

きみが僕に隠れて嬉しそうに読んでいる新聞の四コマ漫画のことも
きみが髪を無造作に結い上げるその方法も

僕は知らない

きみの一日を 僕は知らない



きみが今 誰と話しているのか 僕は知らない
きみが今 何を見ているのか 僕は知らない

きみが今 思い浮かべているのは誰なのか 僕は知らない
きみが今 思い浮かべているのは何処なのか 僕は知らない


きみがいつも話してくれる「お茶友達の栗田さん」が 誰なのかも
きみが大好きな巨大なピンク色のぬいぐるみの良さも

きみが大成功したという仕事の時の表情も
きみが家族と電話で話すときの 声の調子も

僕は知らない



きみが笑っているのか 僕は知らない
きみが泣いているのか 僕は知らない


僕は知らない

きみの一日を 僕は知らない


いつもと変わらない きみの出迎えと
いつもと変わらない 夕食の匂い
疲れたでしょう、とそっと抱きしめてくれるその体が

一日のうちに何を背負い、何を赦し、何を愛したのか
僕は知らない


きみの一日を 僕は知らない



それでも必ず ここに帰ってきてほしい、と
僕は願う
この場所で いつまでも眠ってほしい と



僕は それだけでいい









〜きみの一日を 僕は知らない〜


自由詩 きみの一日を 僕は知らない Copyright もも うさぎ 2008-04-14 11:04:22縦
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