くまちゃんと僕の三ヵ月の空白
士狼(銀)


くまちゃん
雪が降ったからね、うさぎを作ったんだ。ダイクマからの帰り道、雪が降って、ねぇ。積ったらいいのにーってはしゃいだら僕、冗談じゃない!ってみんなに怒られてさ。くまちゃんは雪の多いとこに住んでるから、だから、もう、雪はいいかな、って笑ったね。




くまちゃん
桜はもう、散ってしまったよ。葉桜が綺麗で、でも、お花見コンパは屋内だ。何かおかしいよね、って一年前に笑ったね、僕たち。部室に行ってもくまちゃんはいなくて、いつも誰かが言うんだ。ぽつりと、確認するみたいに。なんだか寂しいね、って。



くまちゃん
また部室で鳥の勉強をしようよ。焼き鳥でも手羽先でも何でもいいよ、鳥の話を。時々はCDを聴いて、あ、今、くりきんとんって鳴いた!ガビチョウだ!ってクイズを出し合ってさ。冷蔵庫にはまだトラツグミの死体が入ってて、ねぇ、だから、一緒に標本も作ろう。

くまちゃん
初めての二次会で、雰囲気に馴染めなくて、僕たち、隅の方でさ、大学生になる前の話をしたね。僕たちは将来の話をするのが苦手で、僕はお酒が飲めなくて、先輩からのコールに答えたのはくまちゃんだった。カシスオレンジで乾杯したね。


くまちゃん
みんな寂しいんだ。いつも何か寂しいんだ、僕たちは。寂しくても寂しいって言えなくなる年齢ってあるのかな。素直でいたいと思って、でもいられなくなるのは、年齢のせいなのかな。ねぇ、くまちゃん。わからないことが多すぎるよ。

会いたいよ、くまちゃん。


自由詩 くまちゃんと僕の三ヵ月の空白 Copyright 士狼(銀) 2008-04-13 21:03:21
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