色はにほへど はらはらと うゐの奥山 かなしみの 惑ひの細道 たどれども 古里さむく 風まじり 夢の通い路 ほろほろと 散りぬる淋しさ 雨まじり わが世 誰ぞ 愛しかる 夢路の奥のその奥の 常にはあらぬ恋なれど しのぶ軒端に ふるふると 愛しき人の残り香の ゑひて痛みを抱きしむる 追へどはかなき 面影 ひとひら けふこえて 春のひかりを惜しみつつ あはれながれて桜 流るる桜 桜散りぬる