雉は鳴かない
ブライアン
地下鉄に住み着いた雉は
夕暮れの人ごみに混じる
500ページを越える雑誌の角にとまり
まだ見ぬ乗客を待っている
スーツ姿の男女が流れ込む停車駅で
誰も気にとめるものはいなかった。
誰もが自宅を夢見ている。
(アルコールの口臭さえ帰宅への美しい香水のようだ)
乗り換えのご案内とともに降車する
上りエスカレーターまで争い
黄色の線の内側に人々の踵がおさまる中
雉は線上に朱い頭をのせたのだった。
自由詩
雉は鳴かない
Copyright
ブライアン
2008-04-12 23:51:46