ジキタリス
こゆり

いちばんはじめに遡ったとして
今までずっと片すみに
咲いていたのだろうか

つりがねが揺れるたび
薄皮は内側から剥がされ
はら はら
こぼれ落ちる

ただ見つめる
伸ばした手で何もつかめなくても
こぼれ落ちたものが
どこへ行ったか分からなくても
ただ ただ

和名キツネノテブクロ
さようなら、と
ひら ひら
手をふり
裏返した手で
かげ絵をつくる

やわらかなかげは
やさしい嘘を包み込み
ほつれた糸を
ゆるく ゆるく
結び合わせる

目を閉じてまたひとつ
あくびをする


自由詩 ジキタリス Copyright こゆり 2008-04-12 20:38:58
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