「雪融け」 (青年詩片)
ベンジャミン
真っ白な雪が降ったとき
僕は子供のように喜んだ
冷たい雪に埋もれながら
僕はそんなふうになりたかった
真っ白な雪と大地の間で
わずかな温もりを感じたかった
四月 (始まりの季節に僕は佇む)
こんなに寒いのに
あれからさっぱり降らない雪
あとかたもなく消えてしまった
雪が降ったという
記憶だけを残して
四月 (始まりの季節に僕は戸惑う)
真っ白な雪になりたかった
すべてが無になるような感覚
麻痺するような冷たさに
何も感じないでいたかった
できることならその結晶の一つ
規則正しく並んだかたちの一つに
すべてを込めて融けてしまいたかった
四月 (始まりの季節に僕はさまよう)
春ももう終わりを告げてしまう
昨日降った雨には
そんな匂いが混ざっていた
いつもそう
季節だけが先に行ってしまうんだ
この深い寒さを
そのままにして
記憶の中に消えることのない
あの深い冷たさを
置き去りにして
季節だけが
いつも先に行ってしまうんだ