旅行
水町綜助

剥げてゆく空の下
車輪まわり、まわり
金の音さらに、
さらに遠ざかりゆく
緑金の春に



やあ
俺は
くちべたなんだ
どういうわけだか
とても仲のよいはずの奴と話していても
ほんの五分前歩いた
路地の曲がり角
その曲がりかたのまずさ位のことで
うまく笑えなくなったりする

曇った声になるのさ
とても
うまくいかない

そんな文字盤の展開に
ほとほと嫌気もさしたので
鉄の棒をいっぽん青空へ
投げ
車輪を四つ
けとばして
春と生活を、走る

そのアウトラインを
走る

ああ
国だ
お前
枝を
なげるなよ
そんなに
俺は
後ろを見ない
薄暮に
青く
薄い筆でひいた
ORANGEで
好きだよ
そのジーンズの
染みた濃さ

うねり
くねる
うねり
くね
ぐるぐる
きょろきょろ
と話は回る
街の切れ端とつなぐ布
その縫い目の色と
縫いかたの話
お前そんなこというの
なら俺はこうしちゃうもんね
ほら
県境だ

町が
町が
散ってくみたいに

灰色の
落ち窪んだ
町並みを
通る
身長は170,3センチ
体長1703ミリ
そんな嘘でない誇張要らない
俺はその高さで
見下ろしたり
見上げたり
もう悩みも、したい
首が疲れたので
右手で頬杖を
左手で頭でも掻いとく

汚ねえ川に
金色が横溢してるぜ
それは太陽のしわざだ
どこまで行っても
日没までは
居やがるね
首が疲れる位置だね
ずずと動いて
でも登りはじめの位置と
沈む場所は
やっぱり俺たちのいる高さだよ
ふりむいて
お前の顔があり
目線が交わって
しまうあたりだよ
この、地面だ
この
生まれた


緑金の春のした
鐘のおとさらに
さらに遠のき
剥げていく空の
車輪
さらに
まわる、まわる
この
生まれた
逆光に









自由詩 旅行 Copyright 水町綜助 2008-04-11 08:47:30
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