オレンジ
石畑由紀子
見えない先から
ひさしぶりに糸を引かれ
私も
糸を引いて応える
紅い汗を流して彫刻のように削りだした核から伸びている、それは
時にたわみながらも千切れずに今も
在る、確かめる糸のふるえ、声はなく
見えない先が
けれど
私にはわかる
私たちには
糸の意思からはオレンジの香り
たちこめている、強く
この距離で
オレンジを
一緒に齧りましょう
自由詩
オレンジ
Copyright
石畑由紀子
2008-04-11 02:06:59