精神科第一病棟
山崎 風雅
精神を病んで手がつけられなくなった男達が
運ばれる精神科閉鎖第一病棟
初めに医師の診察が体を鍛えた看護師2人の監視のもと施される
それから逆らう意思を麻痺させる注射を打たれ
無力化させられる
朦朧とした意識のなか
奥にトイレだけがある鉄格子のついた小さい窓がある暗くじめじめした狭い部屋に通される
無表情な医師と看護師
血の気を失った母と妹
恐らくアウシュヴィッツに収監されたユダヤ人も
このような心境だったのかもしれない
薄い意識の中の理性がそんなことを想像させた
自分が置かれた尋常じゃない事態に狼狽えることが
ないほど薬は効いていた
押し込められた血湧き肉踊るこの魂
時代が時代ならこんな俺は英雄になってたんじゃないか
半分真面目に考える
確かにママに逆らわない坊ちゃんや
人殺しがそこらをまかり通っているのに理屈を垂らすインポちゃんにしたら化け物かもしれないけど
ニューヨークでは普通に黒人とふざけてたんだ
ポパイの物真似がよく受けた
先生また入院ですか?
あなたは俺から見ると死人のように見えるんだけど