ジゴロのごとく
渡 ひろこ

甘やかな
ひとさじの記憶を舐めたので
それにすがって
いまでも背負う
185センチをもてあます
トンガッテ戸惑う魂を


(ウザイ)
(ウルサイ)


五角形のつぶてを
吐きながら
それでも
ふとしたつまずきに
よりかかってくる


支えてあげようと
構えていても
重たくて
バランスを崩してしまうのは
キミもひとりで
立ちたいから




尖ったアルタイルに
つま先立つ
危うさの
差しだす手は
時には
ジゴロにも似て


いつのまにこんなに…と
ピンセットで検証したくなるほど
大きくしなやかな
手指のすき間から




わたしの知らない時間が
こぼれ落ちる




自由詩 ジゴロのごとく Copyright 渡 ひろこ 2008-04-08 20:13:03
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