The lie
見崎 光

見つけられずにいた輪郭
朱の陽と聴き慣れたメロディー
どこか淋しげな砂の中で交わる


縛っていた想いは風と同じ
少しずつ柔らかくなり
解かれ
移る
確かめた後ろは
綺麗に整理されていて
触れてはいけない領域のよう
煌めきが微かに薫る
爪先が戻りたがって揺するから
とっさに両手を添えた
気休め程度の温もりに
容易く安心を覚えるほど
宙を舞い続けている心
黄昏ていたい時には拒まれ
見据えを止めたとたんに瞼を奪う
佇みが永くなり
足元が散らかっていく
何故か愛おしい一点
痕跡だらけの
路地裏に似た部分から
ため息が噴く


愛したい
忘れたい
愛さない
変えたい
思い出に…


麓に還る陽を
眺めるだけで終わり
後も先も左も右も
景色は流れず暮れていく
欠けを埋める新たな出来事を求める
足取りはただ空回るばかりで






自由詩 The lie Copyright 見崎 光 2008-04-07 22:07:01
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