あやめたひとあめにさらされ
ゆきのかけら(翡翠)

更に奥深くに

吹き返そうと

強要る種が

下に延びて

散り逝く

それが私のもつ

花壇だったから

水を撒けば済むの

逆流する雨が

まるで

不快な音楽みたいに

ピリピリと

耳を侵蝕して

跳ねて

命の首を

刎ねる

いつかは

合わさる事を

赦されて

上に延び往く

唯一の蔦を

身体の芯へと

搦めあえるよう

願いながら



懇願し

体内へと飲込んだ

宇宙(そら)の種は

私では芽吹かない

私だけでは…

愛しさを

作り上げたって

唯一の願いの痛みには

敵わない

引き裂かれるように

何度も何度も

殺しあって

擦れ合った傷口から

未来が生まれるように

曝け出さなければ

君には

きっと届かない

ねぇ

欲じゃないんだ

もっとその先の…

不完全すぎる

私の身体が

同じ部分をなくした

君を

なくした先から

取り込んだ

畸形のような形

それでも

とても満足したんだ

悲しいくらいに

満たされた

消えないで

養分が足りないのなら

私の身体が

衰弱すればいい

雨曝しなら

私の影で

痛いなら

悲しいなら

総てを引受けるから

…私の半身

殺めないで

苦しいのなら

側にいるから

私の眼を

自分に向けたナイフで

突刺してよ

狂うくらいに

愛しい君に

つながって

でも

決して

一つになれない君に

事切れたとしても

離さないから

その視界で

息をさせて

硝子玉のような

虚ろさの中で

私を永遠に

閉じ込めていて

苦しめて

消えてしまいたい私を

殺さないで

気紛れのままに

生きる苦しみの中で

息絶えたい


自由詩 あやめたひとあめにさらされ Copyright ゆきのかけら(翡翠) 2008-04-07 18:40:53
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