つぎはぎ人形
服部 剛
○さんも
△さんも
□さんも
毎日々々お互いの
足りないところを
ああだこうだ言いながら
日々の暦は止まらずに
捲れ続ける
人の文句を言うことを
もし「いけない」と裁くなら
わたしもふんぞり返ってしまうので
ああだこうだの言葉をそのままに
ぎこちない両手で包んでは
静かにうなずくばかりです
なによりもわたし自身が
つぎはぎだらけの胴体に
「こころ」なんぞを埋め込まれた
ヒトという名の人形です
なんにもできないわたしが
なんで地上にやってきたのか
知らないが
今日という夢のあらすじの
目の前に姿をあらわす
○さん
△さん
□さん
の前に膝をつき
仕えるためにやってきたわたしは
がらすの瞳であなたをみつめる
つぎはぎ人形