いのちの洗濯
服部 剛
糖尿持ちの母ちゃんが
昔より疲れやすくなり
今迄ほったらかしていた
使った皿や洗濯物を
最近僕が洗いはじめた
ベランダに出て
竿に作業着を干す
日々の疲れに
湿った心を乾かすように
青い空から陽はそそがれる
部屋の奥から
明日
小学校に入学する
富山の孫に電話している
親父の嬉しそうな
声が聞こえる
「 明日入学式だって?おめでとう。 」
( かほねぇ、仲良しの友達と
会えなくなるから寂しいの。 )
「 また会えるよぉ、
新しい友達もできるよぉ。 」
世界をすっぽり包む空の下
あるがまんまの姿で佇み
ベランダで頬杖をつく
桜吹雪は舞い
まっすぐに流れるどぶ川
水面にきらきらと星が