ワルツ
エチカ

あえぐ芸術に怯えてしまうわ 
わたし




鳥 あなたのように高く飛べるのだろうか
犬 あなたのように歩けるのだろうか
壁 そして白く 
  風化せず、ただ慄然と
  人は立っていられるのだろうか

あなたのように




まるでつくられたものの中で潜む影のように
草むらから覗く鏡による光の反射を追いかけて
夢 をみているなんて 嘘 だわ





だからわたし、 踊るの
 ...waltz... wal tz......





漂白された粒子の粗い海の波の中で子宮は揺れる

草が凪いでしなびていく姿に
かぶせ、
森が流れていくように
感じられ、
歪むリズムのように
ぼんやりと、
waltz ..... wa lt z ..




しゃこりしゃこりと音をたて、
ゆるく柔らかで儚げに指あとを残し
凪いだ草むらに影を潜める


はぐれものなのだ 誰もが。


声がした
まばゆいばかりの
リズムとともに 


鼓膜から流れ落ちる自己へのホスピタリティ
病院の一室で
哀しい朝を抱え込んだ
艶のある夢


戦争はなかったんだよ
戦争は
起こらなかったのさ 結局。



誰かの声がする
のびゆく影の所在を探して


今宵も
ぼんやりと 

W a l t z ...... wa l tz..




記憶のルポルタージュのように
あなたの中で

揺れる ワルツ


自由詩 ワルツ Copyright エチカ 2008-04-05 16:21:41
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