あえぐ芸術に怯えてしまうわ
わたし
鳥 あなたのように高く飛べるのだろうか
犬 あなたのように歩けるのだろうか
壁 そして白く
風化せず、ただ慄然と
人は立っていられるのだろうか
あなたのように
まるでつくられたものの中で潜む影のように
草むらから覗く鏡による光の反射を追いかけて
夢 をみているなんて 嘘 だわ
だからわたし、 踊るの
...waltz... wal tz......
漂白された粒子の粗い海の波の中で子宮は揺れる
草が凪いでしなびていく姿に
かぶせ、
森が流れていくように
感じられ、
歪むリズムのように
ぼんやりと、
waltz ..... wa lt z ..
しゃこりしゃこりと音をたて、
ゆるく柔らかで儚げに指あとを残し
凪いだ草むらに影を潜める
はぐれものなのだ 誰もが。
声がした
まばゆいばかりの
リズムとともに
鼓膜から流れ落ちる自己へのホスピタリティ
病院の一室で
哀しい朝を抱え込んだ
艶のある夢
戦争はなかったんだよ
戦争は
起こらなかったのさ 結局。
誰かの声がする
のびゆく影の所在を探して
今宵も
ぼんやりと
W a l t z ...... wa l tz..
記憶のルポルタージュのように
あなたの中で
揺れる ワルツ