春の窓辺で
塔野夏子

(チューリップが 咲いたよ)

君は少しずつ
透きとおって消えていった
虹色の血液をめぐらせる
心臓と血管だけは
しばらく其処に残っていたが
やがてそれらも
透きとおって消えてしまった

残された窓に吊られた
針金細工の天使が
どこかもの問いたげに
白い空に
揺れていた

(咲いたのは チューリップ……)





自由詩 春の窓辺で Copyright 塔野夏子 2008-04-05 11:21:41
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