「やさしいかたち」
ベンジャミン


「せんせいのては やさしいかたちしてるね」

いきなり言われたので
僕は自分の手をじっと見た
どうみても普通の手だ

「どういうところがやさしいの?」

血管がういて筋張っているし
けっこうしわもある
自慢できるようなもんじゃない

「おやゆびと ひとさしゆびのあいだくらい」

親指と人差指の間は
少しだけふっくらしていて
そのことを言っているのだろうか

僕は親指と人差指をくっつけて
小さなまるをつくると
それを眼鏡のようにしてその子を見た

嬉しそうに
くすっと笑う

僕には
その笑顔の方が

やさしいかたちに見えてしまう



   


自由詩 「やさしいかたち」 Copyright ベンジャミン 2008-04-05 06:03:57
notebook Home 戻る