しずかな時間
石瀬琳々

しずかな時間に光がうまれた
わたしの心に映り形作られるもの
それは木もれ陽 それはうた
あたたかな陽だまりの中で
わたしを見つめるあなたの瞳
どこか遠いその瞳


あなたの眼差しに海がひそんでいる
まぶしい波濤の彼方に
一羽の鳥がうかんでいる
どこへ飛んでいこうとしているの
風は茫洋 ひるがえる光の刃先
手をのべようとしても
わたしには届かない
わたしの足もとにひろがる深い断崖
小さく咲いた白い花を
あなたは見ただろうか


しずかな時間に影がうごめいている
わたしを誘惑する潮風の香り
鳥の声が耳をかすめてゆく
いますぐ飛び降りたなら
あなたは呑みこんでくれるだろうか
わたしのすべてを



自由詩 しずかな時間 Copyright 石瀬琳々 2008-04-03 13:52:39
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