魚眼
佐野権太

桜舞う水底に佇む魚
たゆたうひとひらを
尾鰭で弾く

開ききった瞳孔で
仰ぐ空は
こみあげる白一色

こぽり、泡が漏れる
どこからか
漏れ続けている

ゆるい水流にもたれれば
幾筋もの光の純朴が
こよりのように
あわさり、ほどけ
鱗にあそぶ

閉じ込められた水球
接近する中心は膨張し
左右は弧を描いて連続する
歪んでいるのは
世界か
あるいは







自由詩 魚眼 Copyright 佐野権太 2008-04-03 09:17:53
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