玉子色に光る街/風景学の本を借りて
kauzak
まもなく夕焼けが訪れる
傾く陽射しが街を玉子色に染めると
空の木々の道路の色が深くなって
陰影を纏いながら豊かに発色するのだ
図書館で見かけた風景学の本が気になって
娘のミュージカルの稽古中に借りて読むと
夕焼け直前の黄金色に光る街が載っている
長い昼寝から起こされて慌てたように
自らの存在を主張する
そのひとときの賑わいが眩しくて
そのひとときに見惚れてしまう
人影のない休日の明るい倉庫街や
何もない埋立地に延びる道路も
肯定する感性に共鳴しても10年前の本
ゆえに手に入れる手だてが思いつかない