まっこりなひと
恋月 ぴの

焼けてきたお肉を器用に裏返してくれる
横の物を縦にもしない性格だと思っていたのに
どうやらそうでも無さそうで

アルコールの度数は低いからと
ビールの飲めない私に勧めてくれた
甘くてとろりとした白いお酒

タレの辛みを優しく癒してくれる
そんな話術に乗せられ飲みすぎてしまう

女房酔わせてどうするつもり

そんなコマーシャルが昔あったような
無かったような

焼肉を食べるふたりは何とかと指さされても
程好く焼けたお肉を仲良くつつきあえば
幸せの在り方について思いを巡らせ

春めくってこんな気分なのかと
酔いで焦点の定まらなくなった瞳に映る

あなたの笑顔と

まっこり
もっこり

河岸を変えようと合図を送る指先に

今夜のわたし「サクラチル」





自由詩 まっこりなひと Copyright 恋月 ぴの 2008-04-01 21:00:48
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