泥棒の詩
昏(ヤッカ)

意味なく悲しくなるときは
どこかで泥棒が死んだんだ。
みんな
イコールをつなぐ日々や
幸せなふりには飽き飽きしてる。

泥棒になろうよ。ねえ
死んだ泥棒達のかわりに。
瓦礫の上が秘密基地だったり
うまく眠れた夜を数えて眠れなくなったり
地図をなぞってた指と指が重なって、笑いあったりしようよ。

合図を決めて
手紙を書いて
予告状をポストに入れたら
泥棒日和の始まりだ。

仕事はいつでも大成功
捨てられるはずだった振り子時計
馬鹿にしか見えない猫
僕らの町
盗んだものを並べたら
壊れたアンテナで
あいつらにだって
届きそうな気がした。

警察が追ってきているね。
「犯人なんて見てません。
 昨日はずっと水族館にいました。」
ね。
僕ら、共犯者。
泥棒の歌う歌は泥棒にしか聴こえない。

あいつら僕らを「ホシ」なんてよぶから
スタークリミナル
なんだかうれしくて
ちょっと照れくさくて

朝なんてこなきゃいいね
あれから何年たったかな
時効が来たら悲しいね
誰かかまってくれるかな。

僕ら最近死んだけど
君は近頃なんとなく
意味なく悲しくなったろう?
だから。ねえ。
おめでとう。
君は栄誉ある泥棒です。


自由詩 泥棒の詩 Copyright 昏(ヤッカ) 2008-04-01 14:25:02
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
君と僕とあいつのいる世界。