ニューデイ
yozo

最初、光は
薄ボンヤリとした色を
ポーンとよこす

ひと昔前の卒業式は、こんな花束であふれかえってた。
いつの間にか起きてきたキミがヒドイ寝癖で言った
かすみ草に右往左往して過ごした苦い青春を思い出し
僕はオレンジのガーベラだった事をぶっきらぼうに伝える
実は寝てないから声がかすれただけなんだけど
敏感なキミが“不機嫌”と勘違いして動揺する
最近は小洒落たカフェ系のブーケらしいよ。
キミの無意味なフォローを耳朶で聞き流し
僕は、夕焼けを煮詰めて出来た色の花弁の
しっとりした感触を思う

起き抜けのキミが淡く佇む隣に夜を超している僕
海と河の境目が蜃気楼みたく揺れてるのに似てる
怖がらなくても大丈夫だよと
誰かに聞いていればいい
そんなことを考えて少し、手を伸ばした

巡ってきたばかりのまだ低く柔らかな光にも
ビルや橋、コンクリートの奥に潜む色々な影にも
これといって企みなどはない
ただ緩やかにグラデーションして震える
その振動までは僕らの目には見えない

所在なく伸びた僕の手に
キミの手がもうすぐ伸びてくる
おはようの握手かな
ひっぱたかれたりして
情けない半信半疑が顔色に出ませんようにと
寝不足の頬をこすった
日曜6時のバスが軽い音をたてて通り過ぎる


自由詩 ニューデイ Copyright yozo 2004-07-04 08:17:02
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