脱線
tonpekep
どこかのひるがえりに花が咲きますと
はじめの足跡が海からバサって上がってきます
空にはたくさんの巨人が腕をのばして飛んでいる
巨人のTシャツには
春風とか桜とか
或いは一番とか神風とかプリントされて
漢字が流行っているみたいでした
たんぽぽ帝国と書かれた地図を拾いました
地図を広げ見ているのですが
大陸も海も島も敵対国も
みんな黄色いので
どこからどこまでが帝国なのか見当もつきません
絶対笑わないように下唇を噛みながら
住所も書かずにポストに投函しちゃいました
深夜のブック・オフでぼくの
隣で立ち読みしていたのは
きっとメーテルであったと
常務取締役に呟いた次の日
転勤になっちゃいました
その日からぼくのあだ名は鉄郎です
たくさんのひとを乗せた電車が
長いトンネルをくぐりぬける
くぐりぬけると
電車の中にはもうだれもいない
電車は満載された貝殻を載せて走りつづけている
電車はレールから脱線して
海賊船になりたかった