脱線
tonpekep

どこかのひるがえりに花が咲きますと
はじめの足跡が海からバサって上がってきます

空にはたくさんの巨人が腕をのばして飛んでいる
巨人のTシャツには
春風とか桜とか
或いは一番とか神風とかプリントされて
漢字が流行っているみたいでした

たんぽぽ帝国と書かれた地図を拾いました
地図を広げ見ているのですが
大陸も海も島も敵対国も
みんな黄色いので
どこからどこまでが帝国なのか見当もつきません
絶対笑わないように下唇を噛みながら
住所も書かずにポストに投函しちゃいました

深夜のブック・オフでぼくの
隣で立ち読みしていたのは
きっとメーテルであったと
常務取締役に呟いた次の日
転勤になっちゃいました
その日からぼくのあだ名は鉄郎です

たくさんのひとを乗せた電車が
長いトンネルをくぐりぬける
くぐりぬけると
電車の中にはもうだれもいない
電車は満載された貝殻を載せて走りつづけている

電車はレールから脱線して
海賊船になりたかった


自由詩 脱線 Copyright tonpekep 2008-03-30 20:34:13
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