とむらいにあらず
木立 悟





冬の蜘蛛のかたちだけが
土の下にかがやいている
風や色とともに染み込み
夜を夜から浮かばせている


まぎれもないまちがいだけを
数少なに燃している
たなびくものが向かう先へ
ただようものもまた向かう


草の檻が鳴っている
夜にはひとつ花が咲く
鍵は長く壊れていて
時々なかには誰もいない


鉄錆の窪みを音は流れる
冬のままの光がひとつ
半ば沈みかけながら
あたたかな雨を見つめている


風が空へ吹き
皆うたうように反る
失われた声が昇り
見えなくなる


色が色のまま燃え残り
花を花で包んでいる
夜のふるえ 頬の熱さ
冷えたものたちを響かせてゆく
















自由詩 とむらいにあらず Copyright 木立 悟 2008-03-30 03:18:24
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