のざらし
宇宿一成

どれほどの
命を生きたか
はかる物差しはなかった

命をかけたものの
値打ちについても
同じだった

机には
首の取れた
犬の貯金箱が転がっていた

こどもに死なれた父親は
悲しみよりも遠いところで
仏像の笑みを浮かべていた

外では風が冷たかった
のざらしの心から
温もりは奪われて


自由詩 のざらし Copyright 宇宿一成 2008-03-29 13:47:13
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