帰ろう。早く帰ろう。
beebee
見送る駅のプラットホーム、
走り出す京浜東北線。
大森駅。
ぼくは立つ、
見送る駅のプラットホームに。
人は溢れ、
向かう、
改札口へと。
人は顔を赤め、
想う、
今日一日のことを、
家庭で過ごすこれからの時間を。
《 さあ、
歩き出そう。
誰が待っているわけでもない、
自分の部屋へと。 》
歩き出そう。
人の波は
ぼくを熱く包み込み、
駅の外へ運び出す。
流れていく人の波。
次第に引いて行く人の波。
後に残るぼくは一人で立ち停まる。
そこに何も落ちてはいないし、
何も置き忘れられている訳でもない。
《 さあ何をしている。
歩き出そう。 》
誰が待つ訳でもない
自分の部屋へと、
歩き出そう。
彼らは
帰る家を持っているのか、
立ち停まって見ていると、
ぼくは吸い込まれそうになる、
彼らの背に。
彼らと共に彼らの家へと
引き込まれて行く、
気がする。
《 ぼくはきっと一人なのかな? 》
帰ろう。
帰ろう。早く帰ろう。
誰が待つ訳でもない、
独りの部屋へ。
早く帰ろう。
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純情詩集